知らずに開業すると危険⁉ 飲食店オーナーの成功を分ける10の心得

飲食店開業の心得10カ条

飲食店を始めたい。でも実際には「開けたけど続かなかった」という声が後を絶ちません。
好きな料理を仕事にしたい、自由にお店をやりたい——その想いは素晴らしいことですが、経営には“現実”があります。

ここでは、開業を「夢で終わらせない」ための10のリアルルールをお届けします。
周りと同じことをしても埋もれるだけです。
ここに書かれた心得が、あなたの未来を変えるヒントになるかもしれません。

飲食店を開業する際の心得は、以下のようなポイントが重要です。
実際の経験や失敗を踏まえ、多くの開業者が共通して語る点をまとめました!

1. 「資金計画」は甘く見ない

開業資金の試算を「家賃+内装費+厨房機器」で終えてしまう人が多いです。私の場合、開業当初に想定した月間固定費は72万円。しかし実際は光熱費・雑費・求人広告で+12万円かかりました。試算方法はシンプルです。

ポイント

・過去の同業店舗の実績値を聞く(知り合いor商工会議所)
・3ヶ月分の生活費も加算
・最低でも半年分の運転資金を用意

資金繰りは余裕が命。オープン後の広告費やスタッフ教育費も含めると、資金は見積もりの1.3倍を目安にすると安心です。

2. 物件選びは「立地」より「動線」

駅から徒歩3分以内の物件は魅力的ですが、必ずしも売上保証にはなりません。私の知人・田中さんは、駅前の好立地に出店したのに半年で閉店。理由は、店前の人通りは多いのに入り口が細い路地の奥で目立たなかったからです。
動線とは「お客が自然に店へたどり着く流れ」。交差点の信号待ちの人の向きや、バス停からの見え方など、現場で一日観察してみましょう。数値化するなら、通行人のうち店方向へ顔を向ける割合が15%以上あれば有望です。

3. メニューは「好き」より「売れる」を優先

オープン当初、私は自分の好み全開の「スパイス強めカレー」を看板にしました。しかし常連から「もう少しマイルドな方がいい」との声が続出。データで見ても、開業2ヶ月目の人気メニューTOP3は全て試作段階では“妥協”した料理でした。とはいえ、自分らしさは必要です。売れ筋7割+個性3割の配分で組み立てると、安定感と独自性を両立できます。

4. スタッフ教育は「マニュアル+感情共有」

アルバイトが次々辞める時期がありました。理由を聞くと「怒られてばかりで楽しくない」と。そこで、作業マニュアルに加え、日報に“今日一番うれしかったこと”を書く欄を追加。これだけで半年後の離職率は50%→20%に減少しました。
接客の質は、教科書的な動作よりもスタッフの感情の温度で決まります。

5. 仕入れ先は3本の柱で安定化

1社依存は危険です。台風で配送が遅れ、主力メニューが出せなかった経験から、私は「メイン仕入れ」「予備仕入れ」「地元農家」の3ルートを確保しました。特に野菜や鮮魚は相場変動が激しいので、価格と鮮度を日ごとに比較する癖をつけるとコスト削減にもつながります。

6. 宣伝はオープン前から“仕掛ける”

オープンしてからSNSを始めても遅いです。開店3ヶ月前からInstagramで内装工事の様子や試作料理を投稿し、プレオープンに招待したフォロワーが初日の売上の4割を占めました。広告費ゼロでも、人は「完成前の裏側」に惹かれます。

7. 価格設定は「心理的境界線」を意識

人は1,000円と980円で受ける印象が大きく異なります。私のランチセットも1,050円→980円にした途端、月間来客数が1.2倍に。

計算式:
改定前売上=1,050円×800人=84万円
改定後売上=980円×960人=94万800円


値下げでも利益増の可能性があります。

8. 衛生管理は「やりすぎ」くらいでちょうどいい

保健所の検査前日、スタッフが「もう十分きれい」と言った厨房で、私はさらに1時間磨きました。結果、検査員に「ここまでやる店は珍しい」と評価され、地域の飲食組合の紹介ページに掲載。清潔さは、味よりも早く口コミになります。

9.数字を毎日見る習慣

売上帳簿は月末集計では遅すぎます。毎晩レジ締め後に日別売上・原価率・客単価を記録し、週単位で傾向を分析しました。
たとえば原価率が30%を超えた日は、必ず高原価メニューが多く出ていました。即メニュー構成を調整すれば、翌週には改善が見られます。

10. 撤退ラインを決めておく

意外と忘れられるのが「やめ時」のルールです。私は開業時に「3ヶ月連続で赤字なら撤退」を決めていました。幸い使うことはありませんでしたが、このラインがあることで精神的に楽になりました。撤退基準は保険。決してネガティブではありません。

まとめ

飲食店の開業は、華やかな表舞台よりも、裏で積み重ねる小さな判断の連続です。10カ条はすべて現場で磨かれた実践的な知恵。
これらを頭の片隅に置くだけで、失敗の確率は確実に下げられます。ただし、完璧な準備よりも大切なのは「走りながら修正する柔軟さ」です。お客の反応や数字は日々変わります。あなたの店も、生き物のように呼吸して成長していくでしょう。
迷ったら、初心のあの日の胸の高鳴りを思い出してください。必ず答えは見えてきます。